うつ病への対応を含め自殺予防の三段階にそって医療従事者としての具体的な対策を示す!
書籍情報
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- 著者
- 筑波大学医学医療系災害精神支援学教授 高橋祥友
- 筑波大学医学医療系災害精神支援学講師 高橋 晶
- 筑波大学医学医療系災害精神支援学助教 山下吏良
- 定価(本体3,500円+税)
- B5判/120頁/図表26点
- ISBN 978-4-906829-27-9
- 発行日 2013年9月25日(第1版)
本書の特長
- わが国の年間自殺者総数は約3万人という深刻な事態が長年続いています。交通事故死者数の6倍以上にのぼる数字です。
- このような社会的背景から、2006年には自殺対策基本法が成立し、自殺予防は社会全体で取り組むべき課題であると宣言され、2007年には自殺総合対策大綱が発表されて、自殺予防の具体策が示され、2012年に最初の見直しが行われました。
- 本書では、自殺の実態、自殺の危険因子、対応の原則から解き明かすことから始めて、自殺予防の三段階(プリベンション、インターベンション、ポストベンション)にそって具体的な対策について取り上げました。
- 精神障害の中でも、うつ病がもっとも自殺と関連しています。ただし、うつ病を発病した人が初診の段階では、さまざまな身体症状を訴えて、精神医学を専門としていないかかりつけ医のもとを受診しています。 したがって、かかりつけ医が、うつ病を早期の段階で診断し、適切な治療に導入するゲートキーパーの役割を果たすことが期待されています。
- 本書はこれから精神医学を専門にしようとしている研修医、そして、精神医学をとくに専門としていない医師や看護師といった医療従事者を対象として、自殺予防の基礎知識についてまとめてあります。また、最近では医療従事者が地域の住民を対象として自殺予防教育を依頼されることも多いのですが、そのような際にも必要な情報が得られるように工夫しました。
- 自殺を理解するキーワードは「孤立」です。そのような状況に追いつめられた人が必死になって発している救いを求める叫びに早い段階で気づき、周囲との絆を回復することが、自殺予防につながります。本書を自殺予防の基礎知識について理解するための叩き台としていただきたい。
目次
- 第1章 自殺の現状
- 1.自殺の実態
- 2.自殺予防の基本概念
- 3.自殺の危険因子
- 4.直前のサイン
- 5.自殺の危険の高い人に共通する心理
- 6.対応の原則:「自殺したい」と打ち明けられたら
- 7.精神科医療との連携
- 8.事例
- 9.まとめ
- 第2章 プリベンション
- Ⅰ.一般の人々を対象とした自殺予防教育/
- どのような人に自殺の危険が迫るのか
- 1.どのような人に自殺の危険が迫るのだろうか? 自殺予防の十箇条
- 2.自殺の直前にはどのようなサインが出てくるのだろうか?
- 3.自殺の危険に気づいたらどう対応したらよいだろうか?
- 4.自分ならばだれに相談するか考えてみよう
- 5.一般の人を対象とした自殺予防教育を実施するうえでの注意点
- Ⅱ.指導的な立場にある人を対象とした自殺予防教育
- 1.指導的な立場にある人の意識改革
- 2.自殺に関する厳然たる事実
- 3.まとめ
- 第3章 インターベンション
- 1.どのようにして精神科受診につなげるか
- 2.精神科医療機関との連携
- 3.退院直後のほうがむしろ危険が迫る場合もある
- 4.長期的なフォローアップの必要性
- 5.関与する人のバーンアウトにも注意する
- 6.まとめ
- 第4章 ポストベンション
- 1.自殺が起きた後に、遺された人が呈する反応
- 2.自殺後の対応
- 3.まとめ
- 資料1. 自殺予防の基礎知識についての質問
- 資料2. 主な精神障害
- (1)うつ病
- (2)アルコール依存症
- (3)統合失調症
- (4)パーソナリティ障害
- (5)ASD(急性ストレス障害)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)
- 資料3.推薦図書(自殺予防についてさらに学びたい人のために)
読者対象
精神神経科医ほか全科医師、研修医、看護師、保健師、カウンセラー、学校教諭、行政関係者、一般