健康起因事故の医学と法律

ISBN	978-4-906829-70-5

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特定の疾患に罹患した運転者であっても、きちんと疾患のコントロールができていれば、問題なく運転をすることができます。もちろん、良好なコントロールができない場合は、運転を控える必要があります。健康起因事故の防止という点で、医療従事者の果たす役割は大変大きいと考えられます。

この本は、免許の相対的欠格事由として挙げられている糖尿病（低血糖）、てんかん、睡眠時無呼吸症候群（SAS）、認知症を中心に、健康起因事故についてまとめたものです。運転者や医療従事者および事業者の法的責任や、医療従事者が注意すべき点について事例とともにみていきます。

本書を通して、多くの運転者が健康管理や持病の良好なコントロールの重要性について認識し、また医療従事者が運転者をサポート・指導していくことで、被害者にとっても運転者にとっても不幸な健康起因事故がなくなることを心から祈っています。

運転者の体調変化に起因する事故の原因には、糖尿病、てんかん、睡眠時無呼吸症候群、認知症のほか、脳血管障害、心・血管疾患、風邪、インフルエンザ、熱中症、精神疾患、視覚障害など様々な疾患があります。
運転者本人のみならず、タクシー、トラック、バス、鉄道などの職業運転者による事故は大勢の旅客や第三者を巻き込む惨事につながります。
本書は、①健康起因事故を引き起こすそれぞれの疾患の疫学、病態、合併症、治療、疾患による交通事故と運転、刑事責任と医師の指導について詳述し、②服薬指導・運転指導、③運転者の法的責任や免許、④職業運転者・事業者の責任と健康管理、⑤医療従事者の責任と患者への指導と役割について、重要な判例に照らして解説します。さらには、⑥健康起因事故の防止に必要な社会体制のあり方についての見解を示します。
医療従事者、法曹、職業運転者・事業者はもちろん、上記疾患をかかえる運転者に必読の書です。